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大人向けと子供向け、一見両者は共存するイメージがないように思えます。 2020年8月「大人が愉しむ竹芝」をコンセプトに誕生したアトレ竹芝には、キッズパークがテナントとして入っています。なぜ、そこにキッズパークができたのかアトレ竹芝の開発企画を担当する出川智之さんと、プロデュースを担当したTransit Branding Studio 中村佳正の2名にインタビューをしてきました。

海や森が臨めるこのロケーションは開放的で気持ちが良いですね! 「大人が愉しむ竹芝」をコンセプトとしているこの施設に、なぜ子供向けのキッズパークを作ろうと思ったのでしょうか?

  • 出川

    はじめにTRANSIT BRANDING STUDIOに相談した時は、キッズパークを作ろうとは思っていませんでした。笑
    竹芝は、JR浜松町駅から徒歩6分、浜離宮恩賜庭園を臨み、汐留川と東京湾の水辺に面した美しい借景が特徴的な、都心でも珍しい豊かな水と緑を感じられるロケーションです。
    マーケット的に、駅から向かう陸地の先端に位置するというベイエリア特有の事情と、半径0.5㎞圏内の就業人口は約3.5万人、居住人口が1,300人に満たない地域なので、エンターテインメント性も高く40~60代の成熟な感度を持つ大人の施設を作ろうと考えていました。そこで成熟した大人が上質な体験を楽しみ、さらに学べる場所を作っていきたいと…。

  • 中村

    そうそう、最初に話を聞いた時は飲食を含めたデジタルアートエンターテイメント施設を作りたいという要望でした。
    以前からアトレ竹芝は、ワークショップアベニューや大人の社交場などがたくさんできると伺っていたので、これ以上大人向けの体験コンテンツを増やすのはどうなんだろう…?と、私の中で疑問が湧いたんです。
    改めてターゲットは誰なのか、都内在住で年齢的に自由な時間があり、小さな子供がいる人こそがカバーすべきターゲットなんじゃないかと思ったんです。
    当時私も子供が生まれたタイミングだったこともあり、子供が手離れしている層は自由に大人の時間を愉しめると思うけど、まだ親がついていないと不安な幼い子供を持つ層って結構多いと思うんですよ。
    そこで大人が愉しめる“場所”だからこそ、子供も楽しめる“場所”を作ってあげないと、大人も100%楽しめないよなって思ったんです

  • 出川

    いや、本当に…中村さんの提案に、率直に「なるほど、確かにねー」と思いました。笑
    大人が愉しむためには、子供が楽しいって思える場所も作らなければダメだよなって。

  • 中村

    アトレ竹芝が入る施設「ウォーターズ竹芝」には劇団四季の専用劇場が入っているんですが、いざ観劇に行くぞ!っとなっても、子供に「行っちゃやだ!」と言われると、後ろ髪引かれてしまい行けなくなってしまうなと。笑
    ここに来れば子供達もが心から施設を楽しむことができる。結果、安心して子供を預けることができるので大人もアトレ竹芝を愉しむことができる。そういうストーリーができる場所を作ろうと思いキッズパーク「CULAFUL」を提案しました。

実際に子供を持つ親だからこそ、気づけた視点かもしれませんね。 では、子供が本気で楽しめる場所を作るために、どのようにCULAFULをプロデュースしていったのでしょうか?

  • 中村

    日常的に遊びの幅が制限されている都心の子供たちが自由に遊べる場所を作ってあげたいと思い「アーバンキッズリトリート」というコンセプトを掲げました。

    大人にとってのリトリートが「ゆったり過ごす」事だとしたら、都心に住む子供達にとってのリトリートは「元気に走り回って遊ぶこと」で、つまり「活発に遊べる場所」になるんじゃないかなと思ったんです。

    なので、ビルとかそういった都会らしい雰囲気ではなく、外で遊んでいるような森や山、海などの「自然」をデザインテーマに空間へ落とし込みました。CULAFULに来る事で、自然体験を求めているけど日常では体験できない “遊び”を通じて楽しんでもらいたいなと考えたんですよ。

  • 出川

    うんうん、本当にそうだと思います。
    TRANSIT BRANDING STUDIOの目線って、社会の潜在的なニーズをすごく捉えてますよね。
    子供の新たな好奇心を生む場として、“遊び”や“学び”といったエッセンスを加えることで、体験の中から刺激が得られ、感性が育まれていくと思います。
    施設のデザインテーマは「自然」としていますが、リアルな自然があるわけではないので、森や海、浜離宮などの借景を利用して、よりリアルに感じられるようにしています。
    そんな空間で子供達には、“遊び”を通して豊かな心を育んで欲しいし、色々な学びや、気づきを子供達に得て欲しいと考えています。

両者が楽しめる施設を作るために、大人も子供も同じリトリートという視点からあるべき姿を考えるって重要な考え方ですね。話は変わりますが、パーク内でお二人が一番好きな場所はどこですか?

  • 出川

    私はマウンテンエリアが好きです。
    マウンテンエリアにはある広いスクリーンには、映像コンテンツ・サウンドデザインを担当した「WOW」さんが作り上げた映像が投影されているんです。その映像が本当に素晴らしくて、改めてTransit Branding Studioの持つクリエイティブネットワークは本当にすごいなと思いました。
    また、マウンテンエリアで子供達が元気に走り回わる姿や、投影された映像で遊んでくれる姿を見ると、しっかりと子供達に“遊び”を通して色々な体験をしてもらえてるなと実感するので、私はマウンテンエリアが大好きなんです。

  • 中村

    あの映像はいくらでも観ていられますよね。笑
    私はシーエリアのボールプールに一番思い入れがありますね。
    CULAFULをプロデュースする上で、一番最初に決まったエリアがこのシーエリアなんです。
    海や浜離宮を眺められる、この開放的なエリアの魅力を最大限に高めるために、ボールプールと海が繋がっているように見えるインフィニティプールとしてプランニングしました。
    このボールプールから見える借景の力を利用して、子供達に色々な好奇心を感じてもらいたいです。

  • 出川

    ここで遊んでいいた子供が「帰りたくない!」といって駄々をこねているところを見ると、「よしっ!」と思うんですよ!笑

  • 中村

    うちの子供は毎回帰りたくないって言って駄々こねて泣いてますよ。笑

狙った通りにCLUFULが機能している証拠ですね。その他に、コンテンツで力を入れた点はありますか?

  • 中村

    今回プロデュースする上で、まず、「キッズパーク」であることを前提に、コンテンツの整理を行い、ベンチマークとして色々なキッズパークをリサーチしました。
    都内にある大規模キッズパークと比べてCULAFULの優位性はなんだろう?と考えた時、子供だけではなく大人も満足できる食事を提供する場所が少ないと感じたんです。
    子供だけではなく、一緒に来る大人も満足してもらうには、遊びも大切だけど、食も重要だなと。
    そこで、予約の取れれないフレンチ「sincere(シンシア)」の石井 真介さんに参画していただきました。石井さん自身も小さなお子さんがいて、どういったメニューが子供は喜ぶのか?どういったメニューが子供の食育につながるのか?など、小さな子供の食の“体験”と共に、大人も満足してもらえるようなメニューを提案いただきました。

アトレ竹芝の大人向けの施設ではなく、大人が子供と一緒に楽しむために利用するといったようなシーンが出てくるかもしれませんね笑。最後にCULAFULを今後どのように成長させていきたいですか?

  • 出川

    遊びを通した学びや体験はもちろんですが、講演会や、勉強会を開催することで子供だけではなく大人にとっても新しい学びや、気づきを得る機会となるイベントやセミナー、ワークショップ等を開催していければと考えています。

  • 中村

    イベントとか良いですよね、子供にとっても大人にとっても良いコミュニティーの場所として利用してもらいたいですよね。
    私の中でCULAFULの重要なところとしては、ハードコンテンツではなく、ソフトコンテンツを充実することで体験価値を高めていくことかなと考えています。
    新しい滑り台の導入や、今あるジャングルジムを新しいコンテンツに変えるなどのハードコンテンツを入れ替える事で集客するのではなく、親と子や参加者同士のコミュニケーションが生まれるようなワークショップやスクールなどをスタッフから提供していきたいですね。そういった新しい “遊び”を提供し、発信していくことで体験価値が高めていきたいです。

    学びながら遊べるスクール的なソフトコンテンツをどんどんアップデートし続ける事で、子供達や大人達のコミュニティーを醸成していけるような場所になっていくことが理想です。

  • 出川

    “遊び”とは、子供にとっての成長の宝庫だと思うんですよ。なので、子供達はこの場所で遊ぶことで、新しい交友関係ができ、社会勉強になると思います。年齢や学年は関係ない子供だけの“場”で、リーダーシップであったり、他人を思いやる気持ちなど小さな社会を築き、社会性を育める場所として利用してもらえると嬉しいです。
    また、親も一緒にワークショップに参加することで、子供と一緒に“遊び”を通して自然とコミュニケーションが深まっていくので、子供の成長を感じながら、親も一緒に成長していく場所として利用してもらいたいです。

CULAFUL

大自然をテーマとした、感性を育み新たな好奇心が芽生える子供のためのエンターテインメント施設、URBAN・KIDS・ADVENTURE「CULAFUL」。

CULAFULはキッズパーク・キッズルーム・カフェの3つのエリアで構成されています。

キッズパークは、自然の中に解き放たれたような遊び場と、パノラマ投影された映像を通して、都心では味わうことのできない大自然を疑似体験することができます。

キッズルームは、おとなも自由に他の施設を楽しめるよう一時お預かり機能を備えました。

誰でも利用可能なカフェでは、自然をモチーフにした子供も大人もピクニック気分を楽しめるメニューをご用意。スペシャルキッズメニューとして星付きフレンチレストラン『Sincere(シンシア)』の石井真介シェフが監修するキッズプレートとデザートセットが登場いたします。また、様々なイベントに合わせパーティープランのご利用も可能です。さらに定期的にこどもたちの好奇心や創造性をかきたてる、食とアートを掛け合わせたワークショップを開催します。

東京都港区海岸1-10-45 シアター棟 アトレ竹芝2F

050-1748-5700

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